選挙解体新書

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政治思想は顔に出る。顔で支持政党が予測できるという研究

 

顔というのは、人間にとって最も重要な情報源だ。

 

 人と出会ったときに最初に注目するのは顔であり、顔を目にしたときの判断(良い、悪い、信頼できる etc. )は無意識にかつ一瞬で終わってしまうことが知られている。

 

 そして無意識かつ一瞬の判断が、その人の人生を大きく左右する。顔の良し悪しは、就職活動に影響し、裁判の結果に影響し、そして経済的な成功にすら影響することが様々な研究で知られている。

 

 そしてもちろん、選挙結果にも顔は影響する。

 

 世界中の研究によって、顔の見た目が良い政治家、とくに有能そうに見える政治家は、投票されやすい傾向があり、実際の選挙でも勝ちやすいことが知られている。それは、我が国の選挙でも確かめられている。 

 

 

 顔での判断は正しいのか?

 

 では、顔での判断はどれくらい正しいのだろうか。単純な情報、つまり性別や民族・年齢などは顔からかなり正確に予測できるようだ。それだけでなく、性的な嗜好(どういう顔が好みか)や宗教まで、ある程度、顔を見ただけだけで予測できることが知られている。いろいろな情報が顔から溢れ出ているのだ。

 

 さらに、米国タフツ大学の研究者らは、より複雑な個人情報すら、顔から判断できることを明らかにした。我々は、見ず知らずの政治家の顔を見ただけで、所属している政党を予測できるのだ。

 

 

 顔で所属政党がわかる。

 

 研究者らは、被験者の大学生に政治家の顔写真を見せ、共和党・民主党のどちらに所属しているかという単純な予測をさせた。

 

 その結果、大学生たちはその政治家を全く知らないにもかかわらず、所属している政党を偶然以上の確率で当てることができたのだ。

 

 次に研究者らは政治家だけでなく、大学の共和党クラブ・民主党クラブに所属している大学生の写真を使った実験も行った。すると、同じように、学生の写真を見ただけで、どちらの政治クラブに入っているかを予測することができたのだ。

 

つまり、支持政党は顔に出ているのだ。

 

 

 顔の何で判断しているのか?

 

 最後に研究者らは、顔のどんな特徴が、共和党・民主党支持と判断されているかを調べた。その結果、より力強く支配的な印象を持った顔の人は共和党支持である確率が高いことを明らかにした。

 

 それと対応するように、力強く支配的な顔は共和党支持だと判断されやすく、親しみやすく温かみを感じさせる人は民主党支持だと判断されやすい傾向があったのだ。

 

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左:民主党・ケネディー 右:共和党・ニクソン

 

 

 日本には当てはまるのか?

 

 この研究はアメリカの一部地域で行われた研究で、その普遍性はよくわからない。

 

 しかしこの発見がもし日本でも当てはまるとすると、より力強く支配的な顔をしている人は保守的で自民党支持者である可能性が高いことになる。一方で、より優しそうな顔をしている人はよりリベラルな政治思想を持っている可能性が高い。

 

 見た目というシンプルな情報だけで、精度よく予測できことが今後明らかになると、効果的な選挙活動につながるかもしれない。実際、アメリカの選挙活動では、所得・住んでいる地域・所有している車種が支持政党を予測できることが明らかになっており、この情報を用いて、効果的な選挙活動を展開している。

 

 日本においても、支持政党を予測できる蓄積されることで、ピンポイントな選挙活動で支持基盤を効率的に拡大していく手法が今後発展していくかもしれない。

 

 

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