選挙解体新書

地方選挙の解説、最新の選挙科学の研究、そして選挙の独自分析を紹介してます。

鶴岡市長選2017、候補者の経歴紹介【現職vs元農水官僚】

 2017年10月8日告示され、10月15日に投開票が行われる予定の鶴岡市長選挙。

 

 現在までの立候補者は二人。現職の鶴岡市長の榎本政規氏(67)と、新人で元農林水産省職員の皆川治氏(42)。今回の選挙戦、戦いの構図は単純だ。山形3区衆院議員、加藤鮎子氏はじめ自民党の強い支援を受ける現職の榎本氏に対して、皆川氏は山形県選挙区の参議院議員、舟山康江氏はじめ民進党・共産党などの支援が報道されている。つまり、国政の与党・野党の代理戦争と言えるかもしれない。

<鶴岡市長選>まるで「山形3区」代理戦争の様相 | 河北新報オンラインニュース

 

 鶴岡市は、榎本氏を支援する加藤鮎子氏の祖父で鶴岡市長を務めた故加藤精三氏と、加藤鮎子氏の父の故加藤紘一元自民党幹事長を輩出している保守王国と言える。しかし、最近2016年の参議院選挙では、皆川氏を支援する舟山氏が自民党新人候補に圧勝している。つまり鶴岡市は、伝統的には保守・自民党系が有利だが、間近の選挙では野党勢力が優勢と言えるかもしれない。

 

 山形県最大の面積を2番目の人口を誇る鶴岡市。慶應義塾大学先端生命科学研究所の招致に成功するなど鶴岡駅北西部のサイエンスパークは発展を続けているが、市全体としてみると、過疎化が大きな問題となっている。鶴岡市の将来を担うのは、保守自民の流れを受ける榎本氏か、はたまた躍進する野党の支援を受ける皆川氏か。鶴岡市の選挙結果が、国政選挙の前哨戦として、全国から注目されている。

 候補者の紹介は以下のとおりだ。

現職 榎本政規(えのもと まさき)氏 

http://www.city.tsuruoka.lg.jp/shisei/gaiyo/shicho/index.images/enomoto.jpg

reference: 市長の部屋 鶴岡市

 

 鶴岡市生まれ。鶴岡南高等学校、中央大学経済学部卒業。その後、榎本測量設計事務所に入社。1991年、鶴岡市議会銀に初当選する。その後、2009年に市長選に立候補するまで5期18年、市議を務める。その間鶴岡市議会議長などを歴任。2009年に立候補した市長選挙では、民主・自民・公明の推薦を得て、また加藤紘一氏の加藤紘一衆院議員、自民3県議(当時)の強い組織力で他の候補を圧倒した。2013年の選挙では、対立候補がおらず無投票での再選となった。今回が3期目をかけた戦いとなる。

 

 任期中にクラゲ債を発行し脚光を浴びた榎本氏。クラゲ債とは、鶴岡市立加茂水族館の改築費用をまかなうため、住民参加型の公募債「加茂水族館クラゲドリーム債」のことだ。この公募債は、募集開始から20分で3億円を売り上げたと報道されており、「今後の地方財政のモデルケース」として、地方公共団体金融機構が表彰する地方公共団体ファイナンス賞に選ばれるほど評価が高い。

 

 一方で、文化会館の改築事業に関しては問題が多数報道されている。当初12年の基本計画で45億円とした鶴岡市文化会館の事業費見込みが、2017年の一般会計で2倍以上の96億7600万円に上っている問題だ。この問題に関して、市議会予算特別委員会で市議会最大会派「新政クラブ」の今野良和委員長(68)は3月21日、辞表を提出している。今野議員は、大幅な増額を市議会の断りなく進めたことに対して「議会軽視、市民軽視だ」と、辞表の理由を説明している。

 

 今回の選挙に関して、榎本氏は「ごみ処理施設建設などの課題をクリアしていくために責任を持っていきたい」「初心に立ち返り、再度市民の審判を仰ぎたい」と述べている。一方で、文化会館事業に関しては、「何十年、百年に一度の改築。優れた建築物として出来上がりつつあり、やむを得ない」と、理解を求めた。 

 

新人 皆川治(みながわ・おさむ)氏

https://i.ytimg.com/vi/-eUVzsoWqII/mqdefault.jpg

 

 鶴岡南高校、宇都宮大学農学部卒業。1997年、農林水産省入省する。福岡県大和町(現柳川市)、内閣官房IT担当室、在シカゴ日本国総領事館領事、農林水産副大臣秘書官、食料産業局企画課課長補佐等を歴任する。2014年に農林水産省を退職し、故郷の鶴岡にUターンする。東日本大震災がきっかけの一つであったと述べられている。その後、東北公益文科大学特任講師や山形県環境審議会委員などを兼任。

 

 政党への推薦願いは出さず、同窓生らを中心とした選挙対策を構築する。しかし、推薦は受けていないものの、民進党の支援をとりつけたことが報道されている。また共産党は、皆川氏の支援のため独自候補の擁立を見送っている。

 

 今回の選挙に向け皆川氏は、最優先課題に「人口減少対策」を掲げるとともに、現市長の文化会館問題に対する姿勢を批判。「(建設費の増額が相次いだ)新文化会館問題に象徴される現在の市政は、先人が築き上げた鶴岡のイメージを損なう。市民の多様な声に耳を傾け、地域課題に寄り添う姿勢に転換したい」と訴えた。

 

 立候補に向けたプロモーションがyoutubeにアップされている

www.youtube.com

 

鶴岡市長選挙の結果を予想しよう

 

 

 

鶴岡市長選挙に関するツイート

参考資料

<鶴岡市長選>まるで「山形3区」代理戦争の様相 | 河北新報オンラインニュース

鶴岡文化施設、膨らむ事業費 与党会派不満あらわ | 河北新報オンラインニュース

<鶴岡市長選>皆川氏 出馬表明 | 河北新報オンラインニュース

市町村カテゴリー/鶴岡市鶴岡地区|2009年10月13日付け紙面より|荘内日報ニュース−山形・庄内|荘内日報社

https://mainichi.jp/articles/20170703/ddl/k06/010/067000c

https://mainichi.jp/articles/20170222/ddl/k06/010/014000c

https://mainichi.jp/articles/20170302/ddl/k06/010/044000c