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【市長決まらず】市川市長選挙2017、候補者の経歴紹介【再選挙】

11月19日告示され、26日に投開票が行われた市川市長選挙。

 

村越氏が最多の得票を集めたものの、当選に必要な法定得票数を有効投票数の4分の1以上を獲得できなかったため、再選挙となった。

千葉 市川市長選は再選挙へ 必要な有効投票数に届かず | NHKニュース

 

再選挙の期日は未定。2週間の異議申し出の期間を経たあと、50日以内に投票が行われることになる。

 

一回目の選挙の得票数は以下の通り。

 

▽村越祐民、無所属・新 2万8109票
▽坂下茂樹、無所属・新 2万7725票
▽田中甲、無所属・新 2万6128票
▽高橋亮平、無所属・新 2万338票
▽小泉文人、無所属・新 1万6778票

 

 

二期を務めた現職市長の大久保博は、引退を表明している。現在までに市川市長選への出馬を表明している候補は5人。元市川市議会議員で高橋亮平(41)、千葉県議会議員の坂下しげき氏(42)、元衆院議員の田中甲氏(60)、もと市川市議の小泉文人氏、そして元衆院議員の村越祐民氏だ。

 

立候補者全員が市川市出身で市川市議を務めた経歴を持つ市川生まれの市川育ち。果たしてどの候補に市川市の未来が託されるのだろうか。

 

市長選に先立ち、11月10日には5人の立候補者による公開討論会が行われた。

動画が公開されているので、時間のある方はご覧になるとよいかもしれない。

市川市長選挙公開討論会 動画1 - YouTube

 

5人の候補者の経歴は以下の通り。

 

新人 高橋亮平(たかはし りょうへい)氏

https://pbs.twimg.com/media/DMuR8z7UIAEBtt_.jpg

reference: 高橋亮平 (@ryohey7654) | Twitter

 

 市川市生まれ。下貝塚中、国府台高校、明治大学理工学部を卒業。明治大学大学院に進学。私立高校の講師などを経験後、2003年27歳で市川市議会議員に立候補、初当選を果たす。2007年の市議選でも再選する。2009年に市議を辞職し、市川市長選挙に立候補するも3位落選。当選した大久保博氏とは4000票余りの差だった。このときは、みんなの党と市民ネットワーク千葉県の推薦を得て選挙戦を戦った。

 

 その後、明治大学世代間政策研究所 客員研究員、中央大学商学部特任准教授、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなどをつとめている。また、地方自治に関して、各種メディアへの出演や新聞・雑誌への寄稿などを行っている。

 

 高橋氏は今回の出馬にあたり、「新しい市川を作りたい。『新市川』と銘打って、新しい希望を取り戻したい」と意気込みを語っている。現市政については「行政改革にはなっていなかったが、財政の健全化に一定の寄与はした」としつつ、「基本的には何もしなかった市政。その間に失ったものは大きい」と厳しい見解を示している。自身の性政策に関しては、「待機児童ゼロを目指して進めたい」「地域現場で若者や子供の主体的な参加ができるまちにしたい」「市民48万人の持てる力を十二分に発揮できるまちにしたい。その大前提として徹底した情報公開を行う」などとの重要項目が報道されている。

 

新人 坂下茂樹(さかした しげき)氏

http://www.chiba-jimin.jp/sites/default/files/sakashita_shigeki.jpg

市川市長選挙立候補予定者 坂下しげき 千葉県議会議員 〜政治は誰のためにあるのか!?〜【公式サイト】

 

 市川市生まれ。第一中学校、船橋法典高校、日本文化大学法学部卒業。大学在学中から千葉県議会議員金子和夫事務所に入所。卒業後も秘書として勤務する。2003年、29歳で市川市議会議員選挙に立候補、初当選を果たす。2007年の選挙でも再選。2011年には千葉県議会議員選挙に自民党候補者として立候補。13400票を獲得し、4位で当選を果たす。2015年の県議選にも立候補し、19838票を獲得し全体の2位で再選を果たす。

 

 今年2017年の市川市長選挙には無所属・自民党推薦での出馬となる。今回の選挙の関しては、同じく自民党県議会議員の鈴木衛氏が立候補を検討していたが、鈴木氏は立候補を取りやめたため、自民党推薦候補は一本化された模様だ。

 

 今回の選挙にあたって坂下氏は、重点項目として待機児童対策や高齢者福祉などを挙げている。また「課題が山積。市民と一緒に乗り越えたい」と述べ、選挙戦への意気込みを語っている。

 

新人 田中甲(たなか・こう)氏

https://pbs.twimg.com/profile_images/824946094/koh_400x400.jpg

田中 甲公式ホームページ - こう!と決めたら田中 甲

 

 市川市生まれ。立教高校、立教大学社会学部卒業。1987年、29歳で市川市議会議員選挙に自民党から立候補、初当選を果たす。1990年には千葉県議会議員となり、1993年まで2期務める。1993年には新党さきがけから衆議院選挙に立候補し、初当選を果たす。その後、1996年には民主党の創立に参加し民主党から衆議院選挙に立候補し再選、3選(2000年)を果たす。

 

 しかし2001年に、民主党の方針に不満を持ち離党。独自政党(尊命)を設立し、代表となる。2003年の選挙には「尊命」から出馬するも落選。2005年の衆議院選挙には出馬しなかった。2009年の衆院選にはみんなの党から出馬するも落選。2013年の衆院選では日本維新の会から出馬するも落選。

 

 今回の市川市長選挙には、10月25日と選挙まで1か月に迫ったタイミングで出馬を表明した。無所属での出馬となる。田中氏は今回の選挙に向けて、「市川市を自然豊かな文教都市を整備する」と意欲を示した。また「人口60万都市を目指し、総合交通体系を整備する。国際大学を誘致。市民の生命と財産を守るため災害を想定した人命救済システムを構築する」と語ったと報道されている。

 

 

新人 小泉文人(こいずみ・ふみと)氏

 

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 reference: 小泉文人「活動日記」

 

 市川市出身。昭和学院小学校、八千代松陰中・高を経て、青山学院大学経営学部卒業。2005年の千葉県議会議員補欠選挙に民主党から立候補し、初当選する。2007年の選挙でも当選。2009年に民主党を離党し、36歳で市川市長選挙に立候補する。しかし大久保氏に3500票及ばず2位で落選する。

 

 2015年に行われた市川市議会議員選挙に立候補。7500票余りを得票し、2位当選に3000票以上の差をつけてのダントツの1位当選を果たす。

 

 しかし、小泉氏は2017年10月に議員を自ら辞職している。これは、小泉氏含む一部会派が政務活動費で切手を大量購入した問題によるものだ。調査特別委員会(百条委)の調査対象になり、小泉氏が切手の使途としていた市民アンケートについて「実際に実施されたと断言できない」との調査結果が出ている。小泉氏に対して出された議員辞職勧告決議案が提出されていたが、審議の前に辞職願を提出したことによる。

https://mainichi.jp/articles/20171003/ddl/k12/010/187000c

 

 今回の市川市長選挙に向け小泉氏は、「まち、人、暮らしという軸をもとに360度の包括的なアクションプランを伝えながら、市川市が次のフェーズに進むべく、政策を訴えて戦っていきたい」と述べている。しかし、現状では、市議を辞職する主因となった切手問題に関してのコメントは見当たらない。

 

新人 村越 祐民(むらこし・ひろたみ)

 

https://pbs.twimg.com/profile_images/917413111023284224/InD8Sq_W_400x400.jpg

reference: 村越ひろたみ (@hirotami_m) | Twitter

 

市川市出身。市川高校・青山学院大学を卒業後、民間企業に就職。その後、1年で退社し早稲田大学大学院に入学する。大学院在学中の2003年、千葉県議会議員選挙に出馬し初当選を果たす。そのわずか半年後、2003年に行われた衆議院選挙に民主党から立候補し当選、若干30才で衆議院議員となる。

 

 2005年の衆院選では自民党候補に敗北し、落選。しかし2009年、再び民主党から出馬した衆院選で当選し、雪辱を果たす。このとき野田内閣で外務大臣政務官を務めている。2013年、民主党から自民党へ政権が戻ったときの衆院選で民主党から出馬するも、落選。2014年の衆院選でも落選している。

 

 先日行われた2017年の衆院選には希望の党から出馬することが検討されていたが、断念している。これは、民進党関係者から「希望の党」の公認を得ることができなかったとの連絡を受けたためである。

【衆院選】千葉5区 岡野純子氏、「希望」から出馬 村越祐民氏は断念 - 産経ニュース

 

 今回は地元市川市で市長選に無所属で臨む。「市政を超改革する」と意欲を示している。今回の市長選に向け、「多様な価値観を尊重。市民が市政に参加する仕組みを整え、市民の力と知恵を引き出す。教育環境や福祉を充実。小中学生の短期海外留学や地元商店街の活性化などを行う」と抱負を語っている。今回は無所属での出馬ではあるが、「すべての野党に推薦を求めていきたい」とした。

市川市長選 村越氏が出馬表明 千葉 - 産経ニュース

 

 

 

市川市長選挙に関する疑惑

市川市長選挙に関して、ネット上での選挙情報に気になる点があります。

 

それは、このサイトです。市川市長選挙と検索すると上位にヒットします。

2017年市川市長選の立候補者は?高橋氏と坂下氏の一騎打ちか!? | 住み街ナビ~市川~

 

なぜこのサイトが気になるか。それは、特定の候補を貶める意図が見え隠れするからです。具体的には、高橋候補を好意的に紹介しているのに対して、坂下氏・田中氏に対しては非常に悪意のある文章が並んでいます。

 

高橋候補に対して

中学高校の教師、議員、自治体の職員、教授と、まぁ経歴が多彩。

顔も頭もよくて仕事も出来るんですかね。

どんだけ~

 

坂下候補に対して

 

ポスターの写真と比べて大分お太りになられている気がする坂下しげき氏の経歴をまとめました。

 

「県議会議員ともなればさぞかし裕福な生活してるんだろうな~」と歪んだ動機から坂下氏の収支を調べてみました。

千葉県議会議員としての議員報酬が月に88万、あと政務活動費が40万円ほど(少しずれがあるかもしれません)で、合計130万円ほど。

年収でも1,600万円位でしょうか。

 

さらに、坂下氏の政治団体の収支報告を見たところ…

何と寄付が1,600万円ほども!(一番多かったのはやはり企業からの献金で800万円以上ありました)

議員報酬と寄付の合計で3,000万円以上の収入。

すごいな県議会議員!

そりゃあ太るよね!!

 

 田中候補に対して

 

他にも沢山不動産をお持ちだとか、選挙のたびにその資産がどんどん減って言っているとか、あることないこと勝手に噂されております。

有名になると大変ですね。

 

似てる!

さすが親子!!

ちなみに、下世話な話ですが、親子仲がとても悪いんだとか。

 

 

このサイトは、1. 事実を歪曲して悪印象を煽っている点。2. 候補者の容姿を揶揄している点で非常に悪質であると言えます。

 

  1. 事実を歪曲し悪印象を煽っている点

 政務活動費は、使い道が限定されており、給料ではありません。年収に政務活動費を含めるのは不適切です。また政治団体への寄付は、きちんと管理されている限り、全く非難されるべきものではありません。

 

 憤りを感じるのは、サイト運営者が、政務活動費と給料の違いを理解しているにもかかわらず嘘の情報で印象操作している点です。このサイトの別のページに以下の記述があります。

 

政務調査費は議員に、月数万円支給されています(金額は自治体によって異なり、市川市議会は月8万円)。

あくまで議員活動にしか使ってはいけません

 

サイト運営者は政務活動費と給料の違いを正確に知っているわけです。

坂下候補に対する悪印象を植え付けるために、意図的に間違った情報を流しているとしか思えません。

 

 ちなみに高橋候補の経歴は、教授ではなく特任准教授です。

 

  1. 候補者の容姿を揶揄している点

言語道断です。

 

ステルス・キャンペーン(選挙活動)か?

 

 このサイトは市川市長選挙で検索した時にかなり上位にヒットするため、今後、選挙戦が進むにつれ、数千~数万の有権者の目に留まると予想されます。市長選を真剣に考え、候補者の情報を手に入れようとしてサイトを訪れた有権者たちに、このような歪曲された情報を提供するのは正しい行為とは思えません。

 

 もし仮に、どちらかの選挙陣営を応援する目的・または貶める目的でこのサイトが運営されているならば、非常に悪質かつ効果的な選挙戦術と言えるでしょう。ちなみにこのサイトは2017年に運営されはじめたばかりです。

 

 

以上です。

 

 一見中立に見える選挙記事が、特定の陣営の広報を目的としたステルス広報によって汚染されているとすると、悪夢でしかありません。

 

市川市長選挙に関するアンケート