選挙解体新書

地方選挙の解説、最新の選挙科学の研究、そして選挙の独自分析を紹介してます。

背の高さは「顔」だけでわかる。【政治家と身長の関係】

  

 背が高い人は有利だ。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0d/Peter_Cosgrove_with_Second_Turnbull_Ministry_2016.jpg

Reference: File:Peter Cosgrove with Second Turnbull Ministry 2016.jpg - Wikimedia Commons

 

 背が高い人はそれだけで、有能でリーダーシップがあると評価されやく、社会的・経済的に成功しやすい。また、背が高い人は、より知的でより健康的だと認識されやすいのだ。背が高いことは、現実の生活で大きな利益をもたらすようだ。

 

政治家にとっても、背の高さは有利に働く。

 

 政治家にとっても背が高いことは有利に働くようだ。歴代のアメリカ合衆国大統領の身長を調べたところ、同時代の成人の白人男性よりも平均7センチ高かったのだ。

 

 またアメリカ大統領選挙に戦った男性候補者二人を比較したところ、相手の候補より背が高ければ背が高い候補者ほど、獲得した得票数が多くなっていたのだ。

www.politic.tokyo

 

  背の高い人は、それだけでリーダーとして相応しいと捉えられる傾向があり、選挙で有利に働く、というわけだ。

 

 つまり、人前に出る政治家(に限らずリーダーシップとして魅力を強調したい人)は、シークレット・ブーツを履くべきなのである。

 

地方議員には関係無い?

 

 テレビによく出るほど知名度の高い政治家は、自分の全身がテレビに映ることが多いため、このような身長による利点が大きくなる。そのため、自分の身長が高く映るような工夫が選挙を戦う上で有効になるだろう。

 

 一方で、多くの地方議員にとって、自分の全身が有権者の目に触れる機会はあまりない。多くの場合、有権者に自分の姿が認識されるのは、選挙ポスターやリーフレット、選挙公報を通じであるため顔だけの写真や上半身の写真だ。

 

 なので、地方議員にとっては、身長による効果はさほど気にしなくてもよいと思うかもしれない。

 

 実はそうではない。

 

 有権者は顔写真からでもその人の身長を推測でき、背が高く見える「顔」の人をリーダーとしてふさわしいと判断してしまうのだ。

 

 背が高く見える顔がある

f:id:HAPUO:20170507103017p:plain

 Reference: Looking Like a Leader–Facial Shape Predicts Perceived Height and Leadership Ability

 

 この写真は、イギリス、アンドリュー大学などの国際研究チームが作成したもので、顔写真を加工することで、想起させる背の高さを実験的に変えたものだ。

 

 どうだろう。左の顔ほど背が低く、右に行くほど背が高いと思ってしまうだろう。

 

 このような加工技術を使って実験したところ、市民は、写真からでも背の高さを認識し、背が高いと認識した相手ほど、よりリーダーとして相応しいと判断したのだ。

 

 つまり背が高い人は、「背が高いこと」そのものだけでなく「背が高くみえる顔」であることでもリーダーシップがあると認識されているのだ。

 

 

背が高く見える構図や顔写真を使う

 

 リーダーシップが政治家に必要な素質であることを考えると、背が高いことは政治家にとって有利に働くのは間違いないだろう。

 

 全身がテレビなどに映る機会の多い著名な政治家だけでなく、集会や講演会で支持者の目が触れる地方の政治家とっても、自分の身長を低く見せない工夫は大事なことだと言えるだろう。

  

 それに加え、上半身や顔だけが映った写真であっても、有権者は無意識にその人の背の高さを推定し、政治家として相応しいかを無意識で判断してしまっている可能性がある。

 

 この研究の教訓は「顔写真や上半身の写真でも、なるべく背が高く見えるような写真を使う方が当選しやすい」だ